社会構造の変化に伴い、育児を巡る制度や支援の枠組みも転換点を迎えている。こども家庭庁が推進する多世代型支援や地域の子育てネットワーク構築においても、祖父母世代の育児参加は推奨される一方で、祖父母と親との間のパワーバランスの崩壊や、子どもの心理的孤立を防ぐモニタリングの重要性が議論されるようになった。
また、日本臨床心理士会に所属する公認心理師や臨床心理士たちの間でも、ヤングケアラー問題と並び、「情緒的ネグレクト(心理的虐待に準ずる見えない育児放棄)」へのアプローチが強化されている。家庭内に暴力や貧困といった目に見える問題がなくても、親が精神的に子どもを手放し、祖父母がなし崩し的に養育を引き受けているケースでは、子どもの心に深刻な愛着の空白が刻まれる。制度の隙間にこぼれ落ちがちな「外見上は問題のない、恵まれた家庭」に潜む歪みに、専門機関も警鐘を鳴らし始めている。