東宝の新人として頭角を現した彼女の躍進は目覚ましかった。なかでも文豪・三島由紀夫の代表作を映画化した映画『潮騒』(1954年)でのヒロイン・初江役は、彼女の清純な魅力を全国に知らしめる決定打となった。伊勢湾の小島を舞台に描かれた純愛劇で、フレッシュでありながら情熱的な演技を見せ、一躍トップ女優の仲間入りを果たす。
さらに織田作之助の名作を豊田四郎監督が映像化した映画『夫婦善哉』(1955年)をはじめ、昭和映画の黄金期を彩る文芸作や娯楽作に次々と出演。表情の繊細な機微と静かながら強い存在感は、スクリーンを通して観客の感情を揺さぶり続けた。