一口に「オオカミ犬」と呼んでも、その実態は一様ではない。血統の背景やオオカミの血量比率(ウルフパーセンテージ)によって、その気質や身体能力には天と地ほどの開きが存在する。
現在、世界的な畜犬団体である国際畜犬連盟(FCI)および日本のジャパンケネルクラブ(JKC)が正式な犬種として公認している代表例が、サーロス・ウルフホンドとチェコスロバキアン・ウルフドッグの2種だ。前者はオランダでジャーマン・シェパード・ドッグとヨーロッパオオカミを交配して作出され、非常に用心深く繊細な性質を持つ。後者は旧チェコスロバキアの軍用犬計画から生まれ、並外れた持久力と鋭い洞察力を誇る。
これら血統管理された固定種が存在する一方で、民間ブリーダーによって交配されたハイコンテンツ(高血量)、ミッドコンテンツ、ローコンテンツと呼ばれる個体群も流通している。オオカミの血量が7割を超えるようなハイコンテンツ個体は、外見こそ息をのむほど野生のオオカミそのものだが、その行動パターンもまた極めて野生に近い。家庭犬としての「しつけ」という概念が通用しない領域がそこには存在する。