歴史を振り返れば、『昆虫記』で知られるフランスの博物学者ジャン=アンリ・ファーブルも、セミの発音メカニズムや音に対する反応に深い関心を寄せていた。彼が南仏で観察した蝉たちと、東アジアに固有のツクツクボウシとでは種類が異なるものの、「音で会話する昆虫」への探求心は時空を超えて共通している。
日本国内でもその注目度は高い。NHK『昆虫すごいぜ!』で熱狂的に紹介されたように、独特な鳴き声の真似や生態の面白さは世代を超えて共有されてきた。NHKオンデマンドで視聴できる数々の優れた自然ドキュメンタリーでも、マクロカメラと特殊マイクで捉えられたツクツクボウシのシーンは屈指の名場面として数えられている。古くは文学や和歌に詠まれ、現代では最新映像技術の被写体となる。この小さなシンガーは、常に人々の感性を揺さぶり続けている。