そもそも『多分』の原点には、小説投稿サイトに投稿された作家・しなのの短編小説が存在する。小さな部屋で繰り広げられる二人の気まずい会話、投げやりな「多分」という一言。この原作のニュアンスを英語歌詞にする際、チームは単なる英訳を超えた「感情の再構築」に取り組んだ。
例えば、原曲のサビで象徴的に響くフレーズ。直訳すれば "Probably" や "Maybe" となるところを、英訳チームは "Haven't" という完了形否定の表現を軸に据えた。「まだ終わっていないのか、それとも最初から始まっていなかったのか」という、揺れる心情のグラデーション。歌詞対訳ドキュメントを読み解くと、ikuraが放つ「Haven't」の一声に、原作者・しなのが描いた主人公の複雑な心理が完璧にトレースされていることが分かる。