グルメ界の通として知られるアンジャッシュの渡部建氏をはじめ、食を極めたスペシャリストたちが異口同音に語るのは、「ネットの点数だけでは測れない名店の存在」だ。スマートフォンを開けば食べログやRettyといった大手レビューサイトに無数の評価が並び、上位の店には長蛇の列ができる。だが、本当の美食家たちが狙うのは、星の数には表れないストーリーを持った一軒である。
例えば、創業数十年を誇る老舗の定食屋や、店主が自ら山に入って採取した季節の山菜を提供する山麓のレストラン。ネット上のアルゴリズムでは評価されにくいような素朴で温かいおもてなしと、丁寧な仕事が施された料理にこそ、忘れられない感動が宿っている。デジタル上の数値に依存せず、己の直感と現地の手応えを頼りに暖簾を潜ることこそ、真のグルメ探訪と言えるのではないか。