東郷記念館を正しく理解するうえで欠かせないのが、隣接する東郷神社と祭神である東郷平八郎歴史の文脈です。東郷平八郎は、明治期の日露戦争において連合艦隊司令長官として日本海海戦を指揮し、世界的な戦術的勝利を収めた元帥海軍大将です。その至誠と武功を称え、昭和9(1934)年の薨去(こうきょ)後に国民的崇敬を集めたことから、昭和15(1940)年に創建されたのが東郷神社です。
神社が「勝運」や「至誠(まごころ)」の神として信仰を集めるなか、参拝者の集会や慶事を執り行う迎賓の場として整備されたのが東郷記念館の始まりでした。つまり、宗教法人としての儀式を司るのが「東郷神社」であり、その厳粛な神前挙式を執り行った後の披露宴や、一般参拝客・ビジネス向けの会食・レセプションを支える総合ホスピタリティ施設が「東郷記念館」という明確な役割分担がなされています。
「勝利の神」としての東郷元帥の精神を受け継ぎながらも、記念館自体は宗教色に縛られすぎない開かれた社交場として発展を続けてきました。現在では、日本古来の伝統儀礼を重んじる層から、都心随一の自然美を誇るロケーションを求める一般層まで、幅広い来訪者を迎える原宿屈指の文化拠点となっています。