1960年代後半から70年代にかけて爆発的な成長を遂げたテレビアニメの世界において、制作スタジオ「タツノコプロ」の熱気は凄まじかった。その熱狂の渦中にあって、作品世界に説得力を与えていたのが彼女の声の力だ。日本中を熱狂させた『科学忍者隊ガッチャマン』をはじめとするアクション大作から、日常をユーモラスに描くギャグ作品まで、彼女が演じたキャラクターの幅広さは驚異的である。
魔法少女ものの原点である『魔法使いサリー』や、破天荒なエネルギーに満ちた『ど根性ガエル』など、歴史に名を刻む傑作群のクレジットにその名を刻んできた。当時の録音環境は現代のような個別収録ではなく、一本のマイクを複数の演者が奪い合うようにして台詞を吹き込む過酷なものだった。その戦場のようなスタジオで、的確なタイミングと感情のニュアンスを一発で決める反射神経こそが、彼女を唯一無二の存在へと押し上げたのだ。