音楽評論家や同世代のミュージシャン、さらには米津玄師やRADWIMPSの野田洋次郎をはじめとする後続のトップアーティストたちから、「天才」と称される藤原基央。その評価を決定づけているのは、類まれなる作詞作曲の構造美と、徹底的に研ぎ澄まされた音響哲学です。
彼の作詞における最大の特徴は、童話や寓話のようなストーリーテリングの手法を用いながら、誰もが抱える「孤独」「生死」「自己の存在理由」という根源的なテーマを鮮やかに描き出す点にあります。『天体観測』や『カルマ』、『ray』といった楽曲群に見られるように、難解な語彙に頼ることなく、日常の何気ない情景描写から人間の深層心理へと一気に潜り込む言葉選びは、現代の日本語ロックにおける一つの到達点と評されています。
また、サウンド面におけるアイデンティティとなっているのが、彼の使用ギターです。藤原基央の代名詞とも言えるメイン機材は、1960年製 Gibson Les Paul Special(TVイエロー)。P-90ピックアップ特有の太く歯切れの良いクランチトーンは、バンドのアンサンブルにおいて歌声と完璧に共鳴します。ヴィンテージ楽器ならではの繊細なダイナミクスを操り、コード1つ、アルペジオ1音の減衰に至るまで徹底して計算し尽くす緻密なアレンジメントが、彼の非凡な才能を支えています。