銀幕のスターからテレビ時代の寵児へと駆け上がった石原裕次郎と、アイドルという概念を覆し自立した女性像を提示した松田聖子。二人が放った光彩は、日本の昭和歌謡や映画史に不可逆的な変革をもたらした。特に聖子の銀幕デビュー作となった映画『野菊の墓』における繊細な演技と透明感溢れる歌声は、かつて裕次郎が日活映画で見せた圧倒的な存在感や時代のアイコンとしての輝きと見事な対比をなしている。
高度経済成長期からバブル経済へと向かう日本社会において、二人は民衆の夢や憧れを体現する存在だった。歌唱力や演技力という枠組みを超え、立ち振る舞いそのものがトレンドとなり、若者たちのライフスタイルにまで絶大な影響を及ぼした点において、両者の存在はきわめて酷似している。