暖簾の先で待っているのは、赤褐色に濁った湯面から立ちのぼる微細な気泡の群れだ。「本町温泉 ぶらくり丁 ふくろうの湯」が誇る源泉は、日本国内でも極めて希少な含二酸化炭素―ナトリウム―塩化物強塩温泉。一般社団法人日本温泉協会が定める厳しい基準において、遊離炭酸(二酸化炭素)の含有量が1,000mg/kgを超える本物の高濃度炭酸泉(療養泉)として認定されている。
湯船に身体を沈めると、わずか数十秒で肌の表面が無数の微小な泡でびっしりと覆われる。炭酸ガスが皮膚から直接吸収され、毛細血管を押し広げて血流を促す。ぬるめの湯加減でありながら、数分も経てば体の芯からじんわりと熱が込み上げてくるのがわかる。強塩泉特有の塩分が肌をベールのように包み込み、湯上がり後も温もりが何時間も逃げない。慢性的な冷えや自律神経の乱れに悩む現代人にとって、これ以上の処方箋はない。