子規が遺した代表的な歌集『竹の里歌』には、病魔に冒され、床から起き上がれなくなってからもなお失われなかった野球への愛が歌われている。「今やかの球投げし人は帰り来ぬ」「久方のアメリカ人とし来にけらし」といった短歌や俳句には、青春のグラウンドを疾走した記憶と、二度とボールを投げられない切なさが同居する。
現在、著作権保護期間を満了した作品を収める青空文庫では、子規が執筆した『筆まかせ』や数々の随筆が無料で公開されており、誰でも当時の熱気にあふれた文章を読むことができる。結核に侵され、激しい痛みに耐えながら描かれた野球の描写は、単なる趣味を超えた生命の輝きそのものであった。