日本の行政トップを指す呼称において、法的な根拠を持つか否かが総理と首相の違いを理解する最大の分岐点です。国法規上の唯一無二の肩書は内閣総理大臣の正式名称であり、法令上に「首相」という文言は一切登場しません。
日本国憲法における内閣総理大臣は、第6条で天皇による任命が規定され、第66条で内閣の首長として明記されています。法律や公的文書、国会の公式記録で使用される「総理」という言葉は、この「内閣総理大臣」を公式に縮めた正式略称です。首相官邸の正式名称が「内閣総理大臣官邸」であることからも、その公的な重みが確認できます。
対する「首相」という呼称は、古代中国の官職制度にルーツを持つ首席宰相の語源と由来に基づいています。君主を補佐して国政を統括した最高職「宰相」の中で筆頭に立つ者を指す言葉であり、明治時代に内閣制度が導入された際、内閣の首長を指す慣用的な呼び名として定着しました。つまり、「総理」が法的な公的略称であるのに対し、「首相」は議院内閣制の首班を指す学術的・慣習的な一般名詞という位置づけになります。