二世俳優という言葉が持つ独特の響きに対し、寛一郎は真正面から己の実力で挑み続けている。デビュー当初こそ周囲の視線に「三國連太郎の孫」「佐藤浩市の息子」という肩書がついて回ったが、彼は愚直なまでに作品と向き合い、そのレッテルを自らの演技力で塗り替えてみせた。
特に評価を高めたのが映画『せかいのおきく』で見せた魂の籠もった演技だ。言葉を排した静寂の中に漲る感情の揺らぎは、観客だけでなく批評家たちをも唸らせた。日本アカデミー賞協会をはじめとする映画関連の賞レースでも存在感を示し、単なる二世の枠を完全に超越。表現者としての鋭い眼差しと存在感は、確実に祖父と父の遺産を血肉化している証明と言える。