ゲートが開く前のわずか数分間。馬場へと足を踏み入れた瞬間の所作には、その日のコンディションが如実に投影される。日本中央競馬会(JRA)が主催する中央競馬では、誘導馬に先導されて地下馬道から本馬場へと姿を現すシーンが中継でもおなじみだ。芝の感触を確かめるようにゆっくり歩かせる馬、入場と同時に猛然と駆け出していく馬。そのアプローチは千差万別である。
重要なのは、それが「騎手の意図通りのコントロール下にあるか」という一点に尽きる。引っかかって頭を上げ、手綱を必死に引かれている状態は明らかなエネルギーの浪費だ。対照的に、騎手の指示を待って落ち着いた常歩からスムーズにキャンターへ移行する馬は、レース本番でも折り合いを欠くリスクが極めて低い。