2008年にリリースされたHYの「366日」。叶わない恋の痛みを絞り出すように歌うあの旋律は、平成を生きる若者たちの胸を激しく突いた。カラオケの定番となり、誰もが一度は口ずさんだフレーズ。「恐いくらい覚えてるの」。あれから16年以上の歳月が流れた。
楽曲が持つ圧倒的な情念を映画という2時間の壮大な物語へと昇華させたのは、綿密に構築されたオリジナル脚本と繊細な演出だ。ただ曲の歌詞をなぞるのではない。失われた時間と、それでも消えない記憶の温もり。曲を聴いた誰もが胸の奥に抱えていた「あの頃の未完成な感情」を、スクリーンは見事にすくい上げてみせた。