「地球に生まれてよかったー!」「何やってんだよ、タメ!」——放送席から飛び出す剥き出しの感情は、数々の流行語を生み出した。決して予定調和を許さないライブ感。それが視聴者を引き込む最大の引力だった。
とりわけ2009年ベルリン大会、ウサイン・ボルトが100メートルで9秒58の世界新記録を叩き出した瞬間、織田裕二の見せた興奮は世界中のどの実況よりも純粋だった。単なる取材者とスター選手の関係を超え、人類の限界に挑むアスリートへ向けた最大級の賛歌。膨大な事前取材に基づいた知識があったからこそ、あの一言一言に嘘のない重みが宿っていた。