田村被告が精神科医として地域医療に携わっていた勤医協中央病院は、北海道における地域医療の拠点のひとつだ。同院は全日本民主医療機関連合会(民医連)に加盟しており、この連合組織が歴史的に革新政党や労働運動と近い距離感にあったことは広く知られている。
事件発覚直後、病院側は事実関係の把握に追われ、記者会見や文書を通じて厳正な対処と被害者側への哀悼を表明した。しかし、全日本民主医療機関連合会の加盟院に所属していたという客観的事実は、ネット掲示板やSNS上で「組織ぐるみの隠蔽があるのではないか」といった根拠のない中傷へと容易に変換された。医療機関としての社会的責任と、職員個人の家庭内で起きた凶行。両者を峻別しない粗雑なバッシングが、現場で働く無関係な医療従事者たちにまで重い心理的負荷をかける事態を招いた。