役を演じることと、服を作ること。一見すると異なるふたつの表現領域だが、彼女の中では美しい循環を描いて共鳴し合っている。
他者の人生に深く潜り込み、その感情の機微を体現する役者の経験は、袖を通す人の佇まいや所作を想像する服作りの感性を研ぎ澄ます。逆に、ゼロから形を生み出し、ものづくりの現実と向き合うディレクターとしての視点は、脚本を客観的に俯瞰し、作品全体の中での自身の役割を冷静に見定める役者としての眼差しを養う。
二足の草鞋を履くことの重圧を軽やかに受け流し、むしろ互いのクリエイティビティを刺激し合う糧に変えていく。年齢を重ねるごとに表現のグラデーションを深めていくその姿は、ひとつの肩書きに縛られない現代のクリエイター像そのものだ。