室伏広治氏の驚異的なポテンシャルを語る上で欠かせないのが、父であり「アジアの鉄人」と呼ばれた室伏重信氏の存在だ。親子二代にわたるハンマー投げの第一人者という血統は、確かに恵まれた遺伝子を示唆している。
しかし、才能だけで世界の頂点に立ち続けることなど不可能だ。彼は自身の身体を徹底的に解剖し、バイオメカニクス(生物力学)や運動生理学の知見を貪欲に取り入れた。自らの動きをハイスピードカメラで撮影・分析し、ミリ単位でフォームを微調整する探求心。遺伝的素質と緻密な科学的アプローチの融合こそが、最強の肉体を完成させた本質だった。