かつてイラストの上達といえば、美術予備校に通うか、分厚い専門書を解読しながら一人で悩むのが当たり前だった。だが、その学習環境は大きく一変した。知識のオープン化を牽引したのが、YouTubeなどの動画プラットフォームを活用したプロ絵師たちによるノウハウの発信だ。
なかでも、元任天堂のイラストレーター・齋藤直葵氏が提唱した『イラスト最速上達法』は、クリエイター界隈に強烈なインパクトを与えた。「理想の絵師を一人絞り、自分の作品と見比べて差分を1つずつ潰す」というPDCAサイクル主導の練習法は、無目的に枚数をこなしていた独学者たちに明確な指針を示した。さらにアニメーターの室井康雄氏が主宰するアニメ私塾のように、線の引き方や身体の動きを物理的なロジックで解剖する指導スタイルも定着。知識を得ること自体が難しかった時代から、「正しい練習法を選び取り実践する時代」へとシフトしている。