振り返れば、ポケモンの歴史においてジェンダーの境界線を揺さぶるキャラクターデザインは、決して突発的に生まれたものではない。『ポケットモンスター 金・銀』で登場したヒワダタウンのジムリーダー・ツクシを思い出してほしい。虫タイプを愛するその可憐な少年像に、当時の多くのプレイヤーが歓喜し、同時に「女の子だと思っていた」という驚きを体験した。
ハードの進化とともに、表現の解像度は一気に跳ね上がった。『ルビー・サファイア』のミクリが見せた優雅な水上の立ち振る舞いや、『剣・盾』のビートが見せた誇り高きプライドと愛らしさの同居。単に「見た目が可愛い男の子」を配置するのではなく、一人ひとりに確固たる生き様と美学を与えてきた。ゲームフリークのキャラクター制作陣が注ぎ込む情熱は、世代を重ねるごとに冴え渡っている。