赤提灯の下でビールを煽る大衆的な風景は、いま熊本で劇的な変貌を遂げている。現在のトレンドを象徴するのは、コース仕立てで一串ずつの完成度を追求する「おまかせスタイル」の台頭だ。単に肉を焼いて提供するのではなく、鶏の部位ごとに異なる熟成期間を設け、部位の個性に合わせた塩やタレの使い分けを行う職人が急増している。
地元の銘酒である球磨焼酎はもちろん、ナチュラルワインや熊本産クラフトビールとのペアリングを提案する店も定着した。席数はわずかカウンター8席前後。職人の手元を眺めながら静かに舌鼓を打つ劇場型の空間が、舌の肥えた大人たちを虜にしている。かつての「安くて早い日常食」から「わざわざ足を運んで味わうべき芸術」へ。熊本の焼き鳥は新たなステージに突入した。