数々の名勝負を生んできたNHK紅白歌合戦のステージにおいても、彼のボーカル音響は異彩を放っていた。生放送という一発勝負の緊張感、巨大なNHKホール特有の響き、そして多種多様なアーティストが目まぐるしく入れ替わる厳しい転換環境の中でも、彼のマイクから出力される音質は常に圧倒的であった。
テレビのスピーカーやイヤホン越しであっても、まるで目の前で囁かれているかのような臨場感。生放送の現場を支えるトップエンジニアたちによるミリ秒単位のマイクゲイン調整とフェーダーワーク、そして本人の卓越したマイクワークが完璧に噛み合った瞬間として、音響関係者の間でも語り継がれている。