音楽家という異色の経歴を持つ藤井隆太氏が株式会社龍角散の社長に就任した当時、同社は倒産の崖っぷちにあった。200年以上の歴史を誇る老舗でありながら、主力商品である粉末の龍角散は売上が低迷。商品ラインナップの無計画な拡大と硬直化した社内風土が重なり、債務超過寸前という過酷な現実が待ち受けていた。
藤井社長が下した最初の決断は、創業家ゆかりの事業であっても不採算であれば容赦なく撤退・売却するという冷徹な選択だった。従来の慣習を破壊し、製薬業界の常識を覆す企業再建への第一歩は、まさに背水の陣で踏み出されたのである。