本作の持つ圧倒的な美意識は、二次元の紙面を飛び出し、多様なメディアミックスの場でも輝きを放ってきた。特筆すべきは、宝塚歌劇団による舞台化である。小池修一郎の演出によって上演されたミュージカル・ゴシック『ポーの一族』は、原作が持つゴシック調の耽美な世界観を完璧な立体美へと昇華させ、劇場に足を運んだ観客を熱狂の渦に巻き込んだ。
舞台上で具現化されたエドガーの哀切な佇まいと、アランとの危うくも切ない関係性は、原作ファンのみならず演劇界からも絶賛を浴びた。紙とインクで描かれた幻想が、肉体を持った役者の歌声と舞踊によって新たな命を吹き込まれる。この舞台化の成功は、本作の持つ物語性とキャラクター造形が、いかなる表現フォーマットにおいても決して損なわれない強固な骨格を持っていることを雄弁に物語っている。