女優としての表現力が決定的な深みに達した画期的な作品が、李相日監督が手がけた重厚な人間ドラマ『流浪の月』だ。複雑な過去を抱え、世間の偏見と戦いながら生きる主人公を演じた際、彼女が見せた横顔の佇まいは、観客の心に深い余韻を残した。言葉にできない葛藤や孤独を背負った横顔の陰影は、まさに日本映画界史上に残る屈指のハイライトとなった。
李相日監督の妥協のない演出に応え、スクリーンに映し出されたのは、従来の華やかなイメージを削ぎ落とした素の感情だった。薄暗い室内で静かに横を向く彼女の姿には、静かな叫びが宿り、顔の輪郭線が物語の痛みを雄弁に語りかけていた。横顔ひとつでキャラクターの内面世界を丸ごと表現してみせるその芝居は、国内外の映画批評家から高い評価を獲得した。