南海ホークスでプレイングマネージャーを務めていた野村克也氏にとって、沙知代氏の存在は精神的な支柱であると同時に、球団内部での摩擦を生む原因ともなった。現場の采配やチーム運営にまで口を挟む「グラウンドの裏の監督」としての振る舞いは、フロントや選手たちとの確執を生み、最終的には克也氏の解任劇へとつながっていく。
しかし、二人の結束が揺らぐことはなかった。どんなに周囲から叩かれようとも、彼女は克也氏の能力を誰よりも信じ、泥をかぶることを恐れなかった。家庭内での沙知代氏は、厳しくも細やかな気配りを見せる母親であり、夫の健康管理や資金面でのサポートを徹底してこなしていたという。世間が叩く「悪妻」の仮面の下には、一途に家族を守ろうとする強い執念が存在していた。