「ここに来ると、なんだか実家に帰ってきたような安心感があるんです」
平日の昼下がり、カウンター席で名物の生姜焼き定食を頬張っていた20代のIT企業社員はそう語る。スマホの画面から目を離し、どんぶり飯をかき込む表情はどこか晴れやかだ。Z世代を中心とする若者層にとって、木目調の使い込まれたテーブルや壁に貼られた手書きのメニュー札は、古くさいものではなく「エモくて新しい」カルチャーとして映っている。
SNSには日々、色鮮やかな小鉢が並ぶ定食の写真が投稿され、ハッシュタグを通じた口コミが新たな客を呼び寄せている。かつてはサラリーマンの胃袋を満たすためだけの場所だった空間が、今や世代を超えたカルチャーの発信拠点へと変貌を遂げた。