特任教授を語るうえで避けて通れないのが、いわゆる「任期制限」の問題だ。労働契約法の改正に伴い、同一の雇用主のもとで5年を超えて有期労働契約が更新された場合、労働者は無期労働契約への転換を申し込む権利を得る。これがいわゆる「5年の壁」と呼ばれる制度だ。
研究者や大学教員に関しては特例措置により10年の猶予が設けられるケースもあるが、現場での現実は複雑である。大学側が将来的な無期転換に伴う人件費リスクを回避するため、あらかじめ任期の上限を3年や5年と厳密に定め、それ以上の契約更新を認めない公募枠が依然として多く存在する。
この任期制限は、どれほど優れた成果を上げている研究者であっても、契約満了とともにポストを離れざるを得ない構造を生み出している。次の一手を常に模索しなければならないキャリアの流動性と不安感は、現場を支える研究者全体に共通する切実な課題となっている。