昭和のテレビドラマ史を語る上で、早瀬久美の存在を外すことはできない。学園ドラマの金字塔『おれは男だ!』で見せた吉川操役の愛くるしい笑顔は、当時の若者たちの胸を焦がした。爽やかで、どこか凛とした佇まい。松竹作品を中心とした映画やTV作品で、彼女はまさに「理想の妹」「永遠のマドンナ」としての地位を確立していった。
しかし、女優としての成熟を迎えるにつれ、彼女の内に秘められた表現欲求は既存のイメージの枠を飛び越え始める。型にはめられたアイドル女優からの脱皮。それは、演者としての矜持を賭けた挑戦でもあった。単なるイメージチェンジではない。表現者として自らの肉体と精神を解き放つプロセスが、静かに始まっていたのである。