母に届いた最期の電話…ペトロパブロフスク羆事件の惨劇と真相にまつわる興味深い視点を分かりやすく発信ます。

都市部からほど近いペトロパブロフスク・カムチャツキー周辺は、世界有数の生息密度を誇るヒグマの王国である。この地域に君臨するカムチャツカヒグマは、体重数百キログラムに達する巨体を持ち、秋の鮭の遡上期を前に高カロリーな食物を求めて活発に徘徊する。

人間を恐れない個体の増加や、人間の生活圏と野生空間の境界線の曖昧化が、悲劇の引き金となった。人里に近いレジャー地でありながら、そこは牙を剥く捕食者の本領が発揮される過酷な野生の領域そのものだったのである。