世界を魅了する伝統芸能の最高峰!国立文楽劇場の鑑賞術と見どころにまつわる役立つ知識を詳しく紐解きます。

江戸時代の元禄期、劇作家の近松門左衛門と語り手の竹本義太夫という二人の天才が出会ったことで、この舞台芸術は飛躍的な進化を遂げた。近松は、武士の義理立てだけでなく、義理と人情の板挟みに苦しむ庶民の生き様をリアリズム溢れる戯曲へと昇華させた。その緻密な言葉を、竹本義太夫が重厚かつ情感豊かな語りとして客席へ届け、大阪の町人たちを熱狂させたのである。

彼らが創り出した戯曲と音楽の体系は、人形浄瑠璃という独自の表現様式を完成させ、日本の近世劇文学における不朽の名作となった。愛と社会規範の葛藤、人間の弱さと愛おしさを描いたストーリーラインは、数百年の時を経た現在でも全く色あせることがない。