首元をタイトに包み込むシルエットには、知性と反骨精神が同居する。歴史を振り返れば、スティーブ・ジョブズが自らのユニフォームとしてタートルネックを選び続けた理由は、余計な選択肢を排除した究極の機能美にあった。一方で映画『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』の劇中、ダニエル・クレイグ演じるジェームズ・ボンドが見せたタートルとアウターの着こなしは、タフな行動力と英国紳士の気品を同時に証明してみせた。
日本国内でも、90年代から現在に至るまで木村拓哉をはじめとするアイコンたちが、襟元にボリュームを持たせることで男の色気を表現してきた。かつてジョルジオ・アルマーニがテーラードジャケットから硬苦しい芯地を抜き去り、男性の身体を解放したように、コートとハイネックのコンビネーションは現代の身体感覚に最も即した洗練の象徴なのだ。