心理学者の植木理恵氏をはじめとする専門家は、人間関係における「弱さや毒の共有」の重要性を説いています。心理学において、他者と深い信頼関係を築くためには自己開示(弱みや本音をさらけ出すこと)が欠かせません。悪口や愚痴は、適度であれば「私はあなたに気を許しています」という親密さのサインとして機能します。
しかし、誰の前でも悪口を言わず完璧な善人を演じ続ける人は、周囲から見れば「決して弱みを見せない人」に映ります。人間には、表裏のない完璧すぎる態度に対して本能的な警戒心を抱く心理機制(プロジェクションや防衛本能)が備わっているため、次のような猜疑心を生み出します。
「表ではあんなにニコニコしているが、裏では何を考えているのかわからない」
「自分のことも、陰では冷めた目で見下しているのではないか」
本音の共有を拒絶されることで、相手は無意識に拒絶感を味わい、結果として「いい人なのに信用できない」というパラドックスが生じることになります。