多くのファンが抱く最大の疑問が、「なぜ高橋英樹の十津川警部は終了したのか」という点です。巷では体調不良説や局側の都合による打ち切りといった憶測も飛び交いましたが、実際の真相は極めて前向きかつ誠実な決断によるものでした。
シリーズ終了に至った最大の契機は、2022年3月に原作者である西村京太郎氏が91歳で逝去されたことです。西村氏の描く旅情とロジカルなトリックに長年敬意を払い続けてきた高橋英樹にとって、原作者の旅立ちは一つの大きな節目となりました。西村氏の生前、高橋英樹は「先生が書かれる素晴らしい物語があるからこそ、私たちは現場で命を吹き込める」と語っており、原作者の死を機に物語を完結させる道を選んだのです。
さらに、テレビ業界全体における2時間ドラマ枠の縮小傾向や、高橋英樹自身の「アクションや長時間のロケを全力でこなせる気力・体力が充実しているうちに、最高のクオリティで有終の美を飾りたい」というプロフェッショナルとしての誇りも大きく作用しました。つまり降板劇の真相は、不本意な打ち切りではなく、原作者への深い追悼と作品への敬意を込めた「円満かつ堂々たるフィナーレ」だったと言えます。