インターネット上の掲示板やSNSでは、「暴力団が締め出されたことで、歌舞伎町の治安は劇的に回復した」という論調が散見されます。しかし、これは街の現場を知らない者による大きな誤解です。
現場で長年商売を営む関係者や防犯ボランティアは、むしろ「昔よりも性質(たち)が悪くなった」と口を揃えます。暴力団が街を仕切っていた時代には、彼らなりの「シノギの縄張り」と「暗黙の掟」が存在し、無軌道な不良グループの乱入や一般客への無差別なトラブルは、ヤクザ自身の利益を守るために抑止されていた側面(いわゆるヤクザによる治安の歪んだ維持機能)がありました。
しかし現在台頭しているのは、ヤクザの組員資格を持たず暴対法の適用をすり抜ける「トクリュウ」です。彼らには組のメンツや街の秩序という概念がなく、短期的に利益を吸い上げたらメンバーを切り捨てて雲隠れします。悪質な客引きによるぼったくり、違法薬物の密売、悪質ホストによる売掛金(借金)を背負わせた上での海外売春強要など、被害の対象は明確に一般市民や若い女性へとシフトしているのです。