ゴン太くんの声を語る上で決して外せないのが、声優・つかせのりこ(本名:塚瀬紀子)氏の類稀なる存在感です。『はじめ人間ギャートルズ』のドテチン役や『超電磁ロボ コン・バトラーV』など数多くの名作で少年役やマスコットキャラクターを演じ、その圧倒的な表現力で業界内でも高い信頼を集めていた実力派でした。
『できるかな』の現場において、つかせ氏の担った役割は単なる「アフレコ担当」にとどまりませんでした。ゴン太くんの着ぐるみを身にまとっていたスーツアクターの水森コウ太氏の細やかなパントマイムに対し、別ブースに入ったつかせ氏がリアルタイムで声を当てていくという、極めて緊迫感のある同時進行収録(生アて)が基本スタイルだったのです。
「着ぐるみの中では視界も狭く、身動きも制限される。しかし、つかせさんの『ンゴホ!』という合いの手が入った瞬間、ゴン太に本物の命が宿った」――当時の番組制作スタッフは後年のインタビューでこう振り返っています。言葉を一切発しないノッポさん(高見映/高見のっぽ氏)のスマートな無言劇と、つかせ氏による喜怒哀楽豊かな発声、そして水森氏のユーモラスな巨体の躍動。この三位一体のアンサンブルこそが、子どもたちの心を引き寄せる最大の原動力でした。