スポーツ紙や週刊誌の見出しを頻繁に飾るのが、大物OBたちによる華やかな復帰劇です。しかし、それぞれの置かれた環境と球団側の事情を照らし合わせると、実態は大きく異なります。
松井秀喜監督就任の可能性:なぜ「永遠の待望論」に終わるのか
巨人ファンにとって最大の夢であり続けている松井秀喜監督就任の可能性ですが、現場取材を重ねる記者たちの間では「現役監督としての招聘は極めて難しい」というのが共通認識です。松井氏は現在、ニューヨーク・ヤンキースのゼネラルマネージャー特別アドバイザーとして若手の巡回指導にあたっており、生活拠点は完全に米国に定着しています。過去の特別インタビューや会見でも、日本への完全帰国や重圧のかかるNPB監督就任に対しては慎重な姿勢を崩していません。球団幹部がラブコールを送り続けているのは事実ですが、本人のキャリアプランと家族の生活環境を崩してまで火中の栗を拾うインセンティブは乏しいのが現実です。
高橋由伸再登板の噂と真相:準備期間を経て高まる現場待望論
一方で、極めて現実味を帯びているのが高橋由伸再登板の噂と真相です。2015年秋、現役引退即監督就任という異例の要請を断りきれず、チームの過渡期に指揮を執った高橋氏。当時は指導者経験が皆無だったこともあり、3年間で優勝を果たせず辞任に追い込まれました。しかし、退任後の8年間で解説者として12球団の戦力を俯瞰し、理論派としての見識を深めてきました。自著や手記で振り返った当時の苦悩を糧に、今度こそ万全の組閣で勝負したいという意欲は水面下で燻っています。球団上層部も「由伸に一度きちんとした戦力を預けてリベンジさせたい」という負い目を抱えており、阿部体制後の最有力受け皿として常にリストのトップに位置しています。
工藤公康巨人監督待望論:圧倒的実績と「外様アレルギー」の壁
ファンの勝率至上主義から沸き起こるのが工藤公康巨人監督待望論です。福岡ソフトバンクホークスを率いて7年間で5度の日本一を達成した実績は、現役指導者のなかでも群を抜いています。巨人でも現役時代にエースとして日本一に貢献しており、投手陣の再建にはこれ以上ない適任者です。しかし、工藤氏の招聘には「読売の伝統」という巨大な壁が立ちはだかります。西武、ダイエー、巨人と渡り歩いた工藤氏は球界の宝である一方、読売巨人軍の純粋な「生え抜き」とはみなされにくく、保守的な本社首脳陣の間で根強い抵抗感があることは否定できません。