なぜ、これほどまでに角型トリニティが時代の空気にハマっているのか。そのヒントは、90年代末から2000年代初頭のデジタル・サイバーパンクカルチャーの再評価にある。映画『マトリックス』に描かれたような、直線とデジタルコードが織りなすスタイリッシュな世界観。Netflixのカルチャー系ドキュメンタリーや海外ドラマでも頻繁に取り上げられるY2K〜サイバーフューチャリズムの文脈と、この四角いフォルムが見事に共鳴しているのだ。
従来のハイジュエリー業界といえば、花や動物、繊細な曲線をモチーフにしたエレガントな世界が主流だった。しかし、幾何学的な構造美を押し出したこの新フォルムは、まるでデジタルアートや最新プロダクトデザインのような未来的ニュアンスを身にまとっている。この異彩を放つプレゼンスこそが、SNS時代の若きラグジュアリー層のコレクター魂に火をつけた最大の要因と言えるだろう。