『翼を広げて』は元々、1993年にロックバンドDEENの2ndシングルとしてリリースされ、ミリオンセラーに迫る大ヒットを記録した名曲です。坂井泉水 作詞、織田哲郎 作曲という黄金コンビによって生み出された本楽曲は、DEEN版とZARD版でそれぞれ異なる魅力を持っています。
最大の違いは、ボーカルのアプローチとサウンドプロダクションです。DEEN版は池森秀一さんの爽やかで力強いハイトーンボイスが特徴で、夏の終わりから秋へと向かう切なさをストレートなロックバラードとして表現しています。坂井泉水さんもDEEN版のコーラスに参加しており、当時のリスナーに鮮烈な印象を残しました。
対するZARD版は、アコースティックギターやピアノの温かみを前面に押し出したアコースティックテイストのアレンジが施されています。坂井泉水さんの語りかけるようなウィスパーボイスと優美なフレージングが、別れを受け入れながらも相手の前途を祝福する歌詞のニュアンスをより深みのあるものへと昇華させています。