かつて大衆を熱狂させた任侠・ヤクザ映画の世界観は、いまや現実の暴力団像と大きく乖離している。かつて北野武監督が映画『アウトレイジ』シリーズで描いた、暴力と裏切りが渦巻く凄惨な権力闘争は、ある種のカタルシスを伴うエンターテインメントとして消費された。しかし、暴力団排除条例が日本全土に浸透した現在、映画に描かれたような派手な抗争を繰り広げる余力はもはや組織には残されていない。
時代の変化をより鋭敏に切り取ったのが、映画『ヤクザと家族 The Family』だ。NetflixやAmazon Prime Videoなどの動画配信サービスを通じて世界中に配信されたこの作品は、反社会的勢力として社会から完全に排除され、家族や尊厳を奪われていく構成員たちの末路を痛切に描写した。映画が描いた「元組員の社会復帰の困難さ」や「血縁・疑似家族の崩壊」というテーマは、現在の裏社会が直面する生々しい現実そのものである。