両極を象徴する生き物といえば「ペンギン」と「ホッキョクグマ(シロクマ)」ですが、両者が同じ場所に共存することはありません。ホッキョクグマは北極圏のみに生息し、野生のペンギンは南極大陸やその周辺の南半球にのみ暮らしています。
この棲み分けが生じた理由は、地球のプレートテクトニクス(大陸移動)と生物進化の歴史にあります。
北極は周囲を巨大な大陸に囲まれており、陸続きのルートが存在しました。ホッキョクグマは、中新世から更新世にかけて北の過酷な環境に適応したヒグマの祖先から分岐・進化した陸生哺乳類です。氷上を渡り歩きながらアザラシを狩る捕食者として生態系の頂点に君臨しています。
対して南極は、はるか昔に他の大陸から完全に切り離され、周囲を荒れ狂う暴風圏の海洋に閉ざされた「絶海の孤立大陸」となりました。陸伝いに大型の肉食哺乳類が渡ってくることができなかったため、飛翔能力を捨てて水中遊泳に特化した鳥類であるペンギンが、陸上に天敵がいない環境で独自の繁栄を遂げたのです。仮に南極へホッキョクグマが持ち込まれれば、逃げる術を持たない無防備なペンギンは瞬く間に捕食され尽くしてしまうと考えられています。