野沢温泉とスキーの歴史は1912年にまで遡る。1960年には三船敏郎らが出演した映画『銀嶺の覇者』のロケ地となり、豪雪の山を滑降するダイナミックな映像が日本中にスキーブームの到来を告げた。毛無山の雄大な地形と豊富な雪量は、草創期からスキーヤーたちを惹きつけてやまない聖地としての風格を漂わせていた。
その豊かな土壌は、世界に名を馳せるアスリートたちを育んできた。アルベールビル、リレハンメル両冬季五輪のノルディック複合団体で金メダルを獲得した河野孝典も、この険しい斜面と深い雪に鍛え上げられた一人だ。村の子どもたちは歩き始めると同時にスキー板を履き、放課後はゲレンデへと駆け出す。文化としてのスキーが日常の血肉となっているからこそ、野沢には他のリゾートには真似のできない本物の山岳文化が息づいている。