ドラフトの醍醐味は、上位候補の競合だけではない。甲子園の土を踏むことなく地方大会で敗退した高校野球の原石、大学野球の強豪リーグで急成長を遂げた遅咲きの好投手、そして社会人野球の過酷なトーナメントで勝負勘を磨いた実力者たち。中位から下位指名に潜む「隠し玉」の存在こそが、編成の腕の見せ所だ。
「地方球場のマウンドで投げていた無名投手の腕の振りに鳥肌が立った」——そんなスカウトの直感が、数年後に侍ジャパンの主力投手を生み出すケースは珍しくない。全国大会の華やかな舞台には現れなかった怪童や、フォーム改造で球速が一気に10キロ跳ね上がった社会人右腕など、各球団のスカウティングネットワークが掘り起こしたダイヤモンドの原石たち。彼らの名前が呼ばれた瞬間、会場に走るどよめきこそがドラフトの深淵である。