「十」と書いてなぜ読める?謎多き「つなし」苗字の驚きのルーツの具体的な内容に迫る! 専門的な視点でご紹介しています。

こうした特異な家名を学問として体系化する道を開いたのが、昭和から平成にかけて日本の名字学を切り拓いた丹羽基二氏だった。全国の津々浦々を自らの足で巡り、墓碑や過去帳を調査して希少姓の存在を記録し続けた彼の情熱が、難読苗字の文化的価値を世に知らしめた。

そのバトンを受け継ぎ、現代のメディアや著書で名字の面白さを発信し続けているのが姓氏研究家の森岡浩氏だ。系譜学と歴史文献を緻密に照合する森岡氏のアプローチによって、かつては奇書扱いされがちだった珍名・難読名が、地域史や社会階層の動きを証明する一級の歴史資料であることが定着した。先達たちの執念ともいえるフィールドワークがなければ、「十(つなし)」のような貴重な苗字の存在は、時代の波に埋もれて忘れ去られていたかもしれない。