シドニージョウゴグモの脅威に対して、人類は決定的な対抗手段を確立しています。それが1981年にオーストラリアの連邦血清研究所(現・CSL Seqirus)とオーストラリア爬虫類公園(Australian Reptile Park)の毒採取プログラムによって完成した専用の抗毒素血清です。
この血清が実用化されて以降、オーストラリア国内においてシドニージョウゴグモによる死亡者は40年以上「ゼロ件」を記録しています。ウサギの免疫系を利用して精製されるこの抗毒素は、早期に投与されれば劇的な回復をもたらします。
噛まれた場合の現場ファーストエイド(PIT法)
医療機関へ搬送されるまでの間、毒の巡りを遅らせる唯一かつ最も有効な手段が圧力固定法(Pressure Immobilisation Technique: PIT)です。
- 弾性包帯で圧迫:噛まれた箇所から心臓に向けて、足首の捻挫を固定する程度の強さで弾性包帯をしっかりと巻き上げる。
- 副木による完全固定:患部(腕や足)を絶対に動かさないよう添え木をして固定する(筋肉運動がリンパの流れを促進し毒を全身へ運ぶため)。
- 絶対安静と緊急通報:患者を走らせたり歩かせたりせず、直ちに救急医療を要請する(患部を切開したり毒を口で吸い出してはならない)。