両者の最も直感的な違いは、運行される山車の造形と、夜風に乗って響き渡る掛け声にある。県都で開催される「青森ねぶた祭」の象徴は、幅9メートル、奥行き7メートルにも及ぶ巨大な横型の立体人形山車だ。歌舞伎の名場面や神話の英雄が、今にも観客へと躍り出てきそうな迫力で迫る。これを取り囲む跳人(ハネト)たちが「ラッセラー、ラッセラー」と跳躍を繰り返す光景は、まさに動の極致といえる。
対照的に、津軽藩の旧城下町で繰り広げられる「弘前ねぷたまつり」の主役は、優美な曲線を描く扇型の山車(扇ねぷた)だ。表側には勇壮な三国志や水滸伝を描いた「鏡絵」が陣取り、裏側には一転して物憂げな美女や幽玄な情景を描いた「見送り絵」が配される。行列は「ヤーヤードー」の掛け声とともに整然と進み、動と静が交錯する情緒的な哀愁を街に漂わせる。