SNSのショート動画などで「激痛に耐えるリアクション」が拡散された結果、施術を受ける側の心理に「激痛を我慢してこそ深層のコリが剥がれる」という強烈な認知バイアスが生じています。しかし、身体生理学の観点から見れば、痛みを伴う強引な施術は完全に逆効果です。
人間は強い痛み刺激を受けると、生体防御反応として交感神経が急激に優位になり、筋肉を固く縮こまらせる「筋性防御(ディフェンス)」を起こします。硬く緊張した筋肉に対してさらに強い力でアプローチすれば、筋線維は簡単に破壊され、組織修復の過程でより硬く線維化していきます。これが「揉まれ慣れて、より強い刺激でないと満足できなくなる」施術依存の正体です。
施術直後の軽快感の多くは、激痛刺激によって脳内麻薬と呼ばれるエンドルフィンが一時的に分泌され、痛覚が麻痺しているに過ぎません。本質的な筋肉の弛緩とは正反対の状態であることを認識する必要があります。