今林大の事件を語る際、ネット空間では長年にわたり誤った情報が定着し続けてきました。その最たるものが、「父親が警察や行政機関に圧力をかけて事件をもみ消そうとした」という悪質なデマです。
警察の通信履歴や法廷証拠によって証明されているのは、事故現場から電話をかけまくっていたのは今林大本人であり、相手は一緒に飲んでいた友人や同僚たちだったという点です。「身代わりになってくれないか」「水を飲めばアルコール検知を誤魔化せるか」とすがりついていたのは本人の浅はかな自己保身であり、父親や母親がその現場工作に関与した形跡は一切ありません。
また、志賀島の実家が「大豪邸で裕福な家庭だった」という言説も事実とは異なります。JR勤務から地元の漁業に携わっていた一般的な家庭であり、特別に潤沢な資産があったわけではありません。むしろ事故後、実家には連日メディアが押し寄せ、心ない嫌がらせ電話や手紙が殺到しました。狭い島社会において「殺人犯の親」というレッテルを貼られた両親は、それまで築いてきた社会的信用も人間関係もすべて失い、息を潜めて暮らさざるを得ない境遇へと突き落とされたのが現場のリアルでした。